月にも浪にも放れない

植物を観察している大学院生のフリースペース

4年間借り続けた奨学金が全額返還免除になりました!

 先日、大学院の4年間に日本学生支援機構から借りていた奨学金504万円が返還免除(全額免除)となった。嬉しくてたまらず、お世話になった方や友達に報告してまわった。今まで応援してくださった方、本当にありがとうございました。

 さて、あらためて額面を見ると、びっくりする額である。

 504万円の内訳は、修士課程*:月8.8万円x 2年間、博士課程*:月12.2万円x 2年間である。本来ならば、あと1年間12.2万円を借り続けるところだったのだが、学振の特別研究員に採用されたので、奨学金生活は4年間で終了した。(5年間借りると、650万円を超えることになっていた。)

 奨学金を貸与している途中、何度も保証人になってくれていた親戚から心配されたが、私は奨学金を借りながら大学に通うことに抵抗はなかった。私は、奨学金を決して無駄にはしない(させない)と考えていたし、大学に通うことが今の私にとっての楽しみであり、将来はそれを糧にする職に就くためにはこの奨学金が必要だと思っていた。
今、思い返してみても、大学院4年間の生活に消えた504万円は、未来の私が、今の私に先行投資したものだから、将来20年間、月々2万円を払い続ける価値があったと思う。

 とはいえ、日本学生支援機構の、奨学生が貸与期間中に特に優れた業績を挙げれば、返還額を減額・免除するシステムは、貸与開始前から把握していて、そこを狙えるくらい頑張ろうと考えていた。本当に実現できたことは今でも信じられないが、その頑張りが認められて嬉しくてたまらない。

 この調子でこれからも頑張りたい。


*私の在籍する大学院は一貫制博士課程なので、修士課程と博士課程に相当する2課程が連続している。そのため、修士1年から博士2年までの4年間を一括で返還免除申請できたが、多くの大学院では修士課程と博士課程が別課程として分かれており、返還免除申請もそれぞれの課程でする必要がある。

iMacでWacom oneを使うために悪戦苦闘した件

 新型コロナウイルスの感染拡大予防のために様々な教育機関でオンライン講義が始まりつつある。この流れは、私がバイトでお世話になっている専門学校にも及んでいて、どうにかオンラインでやってほしいとの連絡があった。

 私の担当するクラスは、通常、パワーポントのスライドを見てもらいながら私がぺラペラと話す方式である。そのため、ZoomやMicrosoft teamsなど様々なオンライン会議用ソフトに対応することができる。ただ、私はこれらのスライドをホワイトボードに投影して、スライド上に落書きをしながら「これがこうで...」といった説明をよくする。この方式をオンライン講義も使いたい。通常のパワーポイントのスライドショーでもマウスを使って発表中のスライドに書き込みをすることはできるのだが、文字を書くのはなかなかうまくいかない。そこで、Wacomの液晶タブレットデュアルディスプレイとして使ってみようと思いついた。ちょうど先日、デジタルな絵を描くことにはまり、iPad miniで絵を効率よく描き続けることの難しさを思い知ったところだったので、お絵かき専用の液晶タブレットがあったら嬉しくてたまらないところ。

 思い立ったが吉日。Wacomの公式HPを見てみると、iPadの大きいサイズを買うよりも断然安いモデルがたくさんある。私はWacom初心者なので、とりあえず2019年に発売されたエントリーモデルのWacom Oneを購入してみた。

 さて、早速届いた。これが地獄の始まりである。元来、WacomWindowsと相性が良いもので、apple製品と繋ぐことは推奨されていない。とはいえ、Wacomの公式HPにWacom Oneは、最新のmacOS Catalinaに対応していると書いてあるので、いけるっしょ、と軽く考えていた。

 Wacom Oneを意気揚々とiMacと接続し、最新のタブレットドライバー(6.3.39-1)をインストールした。その結果、タッチペンは反応するのに、液晶が表示されなかった。ただのタッチパネル状態である。あら、なんかうまくいかなかったんだな、と思いながら、ドライバーをアンインストール&再インストール。HDMIやUSBを繋ぎ直す。でも、状況は変わらない。

 試しにネットで「Catalina Wacom」と検索すると出るわ出るわ、エラー解決を試みた先人たちのメモの山。これらの中から信用できそうな方策を参考にしてみたが、私の目の前のiMacのエラーは解決しない。

 私の知識では追いつけない!とお手上げになったところで召喚したのは、やたらとパソコン関連に詳しい父。夜中に電話をかけてみると、向こうは向こうで何かしらのソフトウェアと戦っていた。状況を説明し、どうしたら良いかな、と尋ねると提案されたのは、macOSのダウングレード。

 この提案で思い出したが、最新のCatalinaにアップグレードしたのは、つい2週間前だった。2週間前に、在宅ワークで少し時間に余裕があるうちにOSをアップグレードしてやろ、なんて考えたのだった。2週間前の私がもう少しこらえておいてくれれば、、、後悔先に立たず。父の提案通り、macOS Mojaveへのダウングレードを試みることにした。幸い、2週間前のMojaveのときのシステム&データはTimemachineにばっちり残っていたので、システム消去(初期化)してもすぐに2週間前の状態まで戻ることができる。

 ということで、夜中にシステム消去して、2週間前の状態への復元をスタートした。iMacがカタカタと頑張ってくれる中、眠りにつき、朝起きてみれば、Mojave砂漠の画面が。

 ハローMojave、2週間ぶりだね。

 気を取り直して、Wacomタブレットドライバーをインストールした。すると、なんということか。エラー症状が何も変わっていないではないか。

 ええーーー・・・

 としか言えなかった。仕方がないので、またドライバーをアンインストール&再インストールと、HDMIやUSBの繋ぎ直しを繰り返す。やっぱり改善しない。

 macOSをダウングレードしたんだからタブレットドライバーもダウングレードしてみるか・・・

 とダメ元で、3つ前のバージョンまでアンインストール&再インストールと繰り返した。でも、タッチペンは反応するのに、液晶が表示されない。3つ前のバージョンに至ってはタブレット認識すらしてくれなかった。またもやお手上げかな、と思いながら、ドライバー(6.3.38-3)を再インストールした状態で、ぼーとしていた。

 これ本当に使えないんだとしたら、ただのタッチパネルとして使うことになるのかな。無駄じゃん。うーーーん・・・

 こんなことを考えていたら、パッと液晶がついた。

 「えっ」

 思わず声が出た。嬉しいけど、意図して解決できた訳ではなかったので、何が原因か分からないまま。でもいいや。気づけば、この問題に取り組んで5日目だった。もういいや。次にWacomを買うときは、Windowsを買ってからにしよう。

 ということで、やっとオンライン講義のシミュレーションができるようになったのだった。ちゃんと考えていた通りの方法で使えたので良かった。

学振に2回落ちて3回目に面接採用された過去を振り返る

 後輩から学振書類にコメントをつけてほしいとお願いされた。

 ああ、そんな季節か...

と、しみじみ思いながら、これまでの私の学振書類との格闘を思い出した。

 私たち大学院生が格闘する「学振」とは、日本学術振興会という「学術の振興を図ること」* を目的とした資金配分機関が、学生向けに提示してくれている研究助成の通称である。これに応募すると、まず書類で審査され、おおよそ上位17%が面接免除で採用される。そして、上位17%に食い込めなかった当落線上の5%程度が面接を受け、うち半数程度が採用となる。最終的に上位20%程度(年による変動がある)が採用される。学振に採用されると、月々20万円の給与と年間100万円前後の研究費を2,3年間得られる。これは、ほとんどの同級生が就職し、給料を得て、親から金銭的に独立するようになった頃に「まだ学生なの?」と言われがちな大学院生にとって、何ともありがたいシステムである。

 さて、そんな学振と私の格闘歴は以下の通り。

2017年 1戦目:不採用(ABCの3段階中、C評価)

2018年 2戦目:不採用(ABCの3段階中、B評価)

2019年 3戦目:面接候補→面接→採用

 面接の結果は、2019年12月26日13時20分頃に通達され、「採用」の文字を見た直後、私は泣いた。そのときまで、本当に辛かったのだ。実は、私の仲の良い友達5人のうち5人ともが、2018年の時点で学振に採用されていた。2019年の申請時期には、私1人が学振を得られていなかった。

 学振は、審査員による点数で順位付けされ、採用/不採用が決まるものであり、必ずしも研究能力や研究者の卵としての優秀さと比例しない。極端な話、研究能力が皆無でも申請書の書き方や計画内容がすごく良ければ採用され、研究能力が高くても文章力が皆無であれば不採用となる。そんなことは理解していたのだが、どうしても「私は研究能力が皆無で、文章力も皆無だから学振に採用されなかったんじゃないか、それはつまり研究者には皆目向いていない証拠なのではないだろうか」という考えが頭から離れなかった。

 一方で、こんな鬱々とした考えや気持ちを持ち続けていては、精神衛生上よろしくないということも理解しており、なんとか元気でいようと自分自身をフォローする考え方を鍛えてきた。ということで、ここに、私の中の「自分を落ち込ませる悪魔」と「自己肯定感を上げる天使」の会話を記録しておこうと思う。(おそらく、今後同じようなことを経験するだろうから、未来の私は参考にするべし。また、今の時期、昨年の私と同じ立場の人がいると思うので、そういう人たちの少しでも助けになれば嬉しい。あと、学振で悩む人の気持ちがわからない人たちにも、学振で悩むとどれだけ穿った考えになるか参考にしてほしい。)

 

 

1)書類審査前

学振に採用されたことがある人「がんばってね!君なら採用されるよ!」

悪魔「いやいや、無責任かよ。これまで落ちてるんやけど。次に通る証拠ある???」

天使「学振に採用されたことがある人の言うことを信じろ!私は頑張っているし、これまでも頑張ってきたから昨年よりは業績が確実に増えている。その頑張りと業績を踏まえた上で、私なら採用されると言ってくれているんよ。あと、私には研究費を与えるだけの価値があると思ってくれているんや。信じろ。」

 

学振申請書を書いたことがない人「がんばってね!君は採用されそう!」

悪魔「いやいや、されそうって何?学振をよく知らんのに何を根拠に言ってんの???」

天使「日々の私の言動と頑張りを踏まえた上で、私なら採用されると言ってくれているんよ!とりあえず、何も知らない人にとって、見かけだけでも優秀に見えていることを喜べ。見かけ通り、優秀であることを示せたら格好いいやろ。見かけを維持しろ。」

 

申請書を読んでくれてコメントをくれた人「もっと分かりやすく論理的に簡潔明瞭に書く努力をしてみて!」

悪魔「それができたら苦労しない」

天使「そうなるように、他にもコメントくれてるやん!コメントを参考にしていくんや!いかに微々たるところであろうとも修正を積み重ねれば、確実に分かりやすい申請書に近くはずや。コメントを読め。」

 

申請書を読んでくれてコメントをくれた人「構成を練り直した方が良いです」

悪魔「えーーーーもっと早めの段階で言ってよーーーー」

天使「文句を言うな。申請書の推敲において率直な意見ほど貴重なものはないやろ!せっかくくれたアドバイスを活かせ。私はそのアドバイスを活かす能力があると思ってくれているから言ってくれたんや。アドバイスに従え。」

 

学振システムをよく知る人「通ったらラッキーと思って頑張ってね!」

悪魔「いやいや、努力しても確実に通るか分からないって努力する気失せるやろ」

天使「真実やろ。学振の申請書に限らず、努力が必ずしも実るとは限らんやろ。何事も淡々と頑張って努力するしかないんよ。やけど、努力せんかったら絶対無理やろ?やで、やるしかないんよ。やれ。」

 

研究助成系を着実に獲得してきた人「学振は絶対とれるよ」

悪魔「過去にとれてない私を前に言うこと?」

天使「学振の申請書には書き方やコツがあるということやん!その人のアドバイス通りに修正してみ。読みやすい文章になるやろ。豪語する人は豪語するだけの実力があるんやからその秘技を学べば良いんよ。そういう人が身近におって良かったやん。私も言えるようになれ。」

 

いい加減な人「3回目なんだから通るよ」

悪魔「そんなん3回目の人みんな通るやん」

天使「それだけ努力してきたことを認めてくれてるんよ。実際、3回目なんやから1,2回目の人らより経験してるんやで。ちゃんとその努力を自分でも認めるんや。」

 

2)面接審査前 

学振面接に関する噂を聞いた人「実は面接前に順位はある程度決まっているらしいよ」

悪魔「は?元から下位にいたらダメってこと?何のための努力なう?」

天使「元から順位付けされてるんやから順位がある程度決まっていて当然やろ。書類申請時よりも業績が出てるんやから挽回できる可能性はある。自信持てや。」

 

発表練習に付き合ってくれてコメントをくれた人「それだけ業績増えてたら通るよ」

悪魔「それで通らなかったらどうしてくれる?」

天使「まともな発表してれば大丈夫な内容ということやよ。自信を持って堂々と発表しろということや。私を不採用にしたら後悔するでって思わしたれ。」

 

学振システムをよく知る人「面接では基本的に通るよ」

悪魔「え、落ちてる人存在するけど?」

天使「やらかさないように、矛盾がないように、発表内容を練って、発表練習すれば通るということや!面接にも達しなかった昨年よりは、進歩/成長したんや。自信を持て。」

 

研究助成系を着実に獲得してきた人「学振面接で落ちた人見たことない」

悪魔「やで、落ちてる人存在するけど?」

天使「学振面接にはコツがあるということやん!その人の普段の発表をみろ。分かりやすいやろ。その人のアドバイスに従ってみ。分かりやすい発表になるやろ。私も言えるようになれ。」

 

 

いい加減な人「3回目なんだから通るよ」

悪魔「面接初めてやわ」

天使「それだけ努力してきたことを認めてくれてるんよ。ちゃんとその努力を自分でも認めるんや。私は頑張ってきたから通る!って思わなあかんよ。」

 

 このくらいかな。また何か思い出したら書こう。

 ちなみに、3回ほど申請書類を書いてみたが、コレをやったから通った!みたいなものは得られていない。文章を分かりやすく、論理的に書くことを努力した結果、実際に3回目の申請書が一番分かりやすくなった。それでも面接免除採用には達しなかったのは、まだ明瞭さが足りなかったのかもしれないし、説得力が足りなかったのかもしれない。だから、書類に関してアドバイスが欲しい人は、他の人に頼むか、サイトを参照した方が良いかもしれない。それでも、参考程度に植物生態学の分野からコメントが欲しい場合はご連絡ください。あと、もし、面接候補になったなら書類よりもアドバイスできます。

尊敬する先生は先に

先日、尊敬しいていた先生の訃報が届いた。年齢も高く、喫煙習慣もあったから、心臓発作で亡くなったと聞いても疑問はなかった。


その先生とは、幼少期に親のつてで何度かお会いしただけで、近年に直接的な交流があったわけではなかった。けれど、親づてに近況を聞くことはあって、ずっと元気にしていることや、このブログを読んでくれていることを知っていた。
 
だから、いずれ会いに行こうと思っていた。
 
先生と同じ植物を研究する道に進みましたよ、最近はこんなことをやっているんです、なんてことを話したかった。また、女性が今よりもずっと生きづらかった時代に、大学教授になるまで突き進んだ信念や苦労を聞きたかった。
 
ああ、会いに行けばよかった。
 
こんな後悔が出てしまうのは、会いに行こうと思ってはいたものの、先生に直接会って、胸を張って成果を報告する自信がなかったのかもしれない。けれど、考えるまでもなく、尊敬している先生方のほとんどは、私の2-4倍生きているのだから、私が事故にでも遭わない限り、私より先に亡くなる。だから、会いたいと思ったなら、出来る限り早く会いに行くべきだろう。胸を張って会いに行けるように、自分に自信をつけられるように日々精進しよう。
 
そんなことを思った新年度の始まり。

上級救命講習:心肺蘇生法が使えるようになった!

 私は、趣味にしても研究活動にしても野外で活動することが多く、私自身が怪我をしたり、何かしらの事故の現場に居合わせたりする可能性が高い。では、そういった状況になったとき、私は何ができるだろうか。止血法や人工呼吸、心臓マッサージなど聞きかじった情報はたくさんあるが、実際に実行できるほど詳細は知らないことも多い。
 これではいけない。常時に実行できないことが緊急時にできるわけがない。
 ということで、福岡市消防局が定期的に開催している救命講習を受けることにした。調べてみると、福岡市消防局は、救命講習として以下のコースを実施している。
・応急手当Web講習(1時間)
・救命入門コース(90分)
・普通救命講習I(3時間)
・普通救命講習II(4時間)
・普通救命講習III(3時間)
・上級救命講習(8時間)
・応急手当普及員講習(3日間)
 これらの中で、都合が合うのは上級救命講習だけだった。初っ端、「うわ、8時間か〜」という感想が出た。しかし、すぐに「頻繁に受けるわけでなし、せっかくなので気合を入れて受けてみよう」と考え直した。
 さて、今日、実際に福岡市消防局で受講してきた。教えてもらったことは以下の通り。
・心肺蘇生法(胸骨圧迫・人工呼吸)
AEDの使い方
・傷病者の症状に応じた体位
・傷病者の保温・冷却法
・傷病者の搬送方法
・止血法・三角巾の使い方
・異物を飲み込んだ時の除去方法
・小児・乳児への対応
 これらの中で、心肺蘇生法と異物を飲み込んだ時の除去方法、小児・乳児への対応の3点は、私が知りたいと思っていた内容だった。胸骨圧迫のリズム(1分間に100-120回)や人工呼吸との比率(胸骨圧迫:人工呼吸 = 30:2)であること、異物を吐かせるための腹部突き上げ法について知れたことは大きな学びだった。特に、胸骨圧迫は、今日、私自身で300回以上行ったので、しばらくはそのリズムが体に残っていると思う。それ以外の項目についても初めて知ることや自身の知識の再確認となり、良い機会だった。
 ただ、実際の現場で私がめちゃくちゃ役に立てる自信はない。今日の講習で重きが置かれていた、心肺蘇生法とAEDを用いるべき場面に遭遇すれば、倒れている人を見つけたらすぐに対応できると思う。同様に、頭・四肢の出血、腕の骨折、嘔吐、異物を喉に詰まらせている人に対してもある程度の対応ができると思う。しかし、傷病は、これだけではない。実際の現場は、模擬現場ほど単純ではない。切り傷・骨折は、程度・部位による差がある。また、体の一部を切断してしまった場合や火傷の現場については教えてもらっていない。つまり、上級救命講習と言えど、たった8時間の講習なので、命が関わる全ての場合について学べたわけではない。
 今回の上級救命講習で学んだことは多かったが、本講習で説明されたピンポイントの状況に対応できるようになっただけで、これで満足してはいけない。詳細な応急処置や命の危険が伴わない傷病の応急処置は、自分で調べ、学ぶ必要がある。これからは、定期的に講習に通い、心肺蘇生法などの応急処置を見に染み込ませていこうと思う。そして、万が一の場合には自分の身を守り、他の人の役に立てたら、と思う。
 
 とはいえ、自分自身については、これらの応急処置が必要な事態にならないよう予防策を練るようにするのが第一ですね。

大学からの注意喚起メールが意味をなしていない、と感じた件

 自動車を所有している人は誰しもが知っていると思うが、任意保険において、10代・20代前半の若者を保障対象とすると保険金額が跳ね上がる。この理由は至って簡単で、運転に関する技術・経験不足による事故率が高いからである。すなわち、10代・20代前半の若者がうじゃうじゃしている大学構内・近辺は、危険運転が多発する地域である。

 そんな大学近辺で、先日、学生同士の交通事故が発生し、一方の学生が亡くなってしまうという痛ましい事故が起きた。ネットニュースによる情報*1を見れば、優先道路を走行していた自動車と側道から出てきた原付バイクが出会い頭に衝突し、原付バイクの方の学生が亡くなった、というものである。やるせなさばかりが残る。

 この事故に関して、私は何かを言える立場にない。私がこの記事で触れたいのは、この事故に関して大学側が発した注意喚起のメールについてである。上記の事故が起きた約2週間後に、全学生の元に以下のようなメールが届いた。

 【タイトル】
[重要] 【注意喚起】交通事故の防止について
【本文】
学生 各位


令和元年5月23日、元岡校区で自動車とバイクの接触による、重篤な人身事故が発生しました。

交通ルールや交通マナーを無視した運転は、重篤な事故へと繋がります。
学生諸君は、常日頃から交通ルール等を遵守し、命を大切にすることを心掛けてください。

また、皆さん一人一人が◼️大生であるという自覚を再認識したうえで、更なる安全運転を心がけてください。

 どのような印象を抱くだろうか。上記の事故の内容を知らなかったら、「ああ、誰か事故ったんだな」とさほど気にとめない内容ではなかろうか。上記の事故の内容とメールに書かれている内容に大きな矛盾があるわけではないのだが、このメールには「重篤な人身事故」の内容が書かれていない。そのため、このメールを読んだところで、何に気をつければ防げた事故だったのか、今後、私たちが何に気をつければ良いのか、という具体的なことが何も分からない。果たして、このメールは学生への注意喚起として役に立っているのだろうか。

 交通事故に関する注意喚起そのものは、とても重要である。なぜなら、世の中で日常的に起きている交通事故を防ぐために、各個人ができることは、様々な場合に起こりえる事故を事前に知り、予測しておくことくらいだからだ。事故の予測を事前にしておくと、現実に自分がその状況を前にした時に、どのような事故の可能性があるかをすぐに思い出して、事故を未然に防ぐ行動をとることが可能になる。自動車免許を持っている人は、教習所の事故シミュレーションで、右折トラックの後方にいた直進車に気づかず、その車と右折する自分が衝突してしまう事故や、渋滞している反対車線の車の隙間から歩行者が飛び出してくる事故などを経験している。免許取得中は、あんなシミュレーションが何の役に立つものか、と感じたかもしれないが、実際に運転してみると、そこでシミュレーションされた状況は山ほど経験するし、それが元となる事故がそこら中で起きていることを知る。そして、その状況を警戒しながら運転することで、事故を未然に防ぐことができる。つまり、こういったシミュレーションは、バカにできないほどの事故防止力を持つのである。

 では、身近なところで、どのタイミングでシミュレーションができるのか。第一に、もっとも簡単な方法として、日常生活の至る所で可能性を検討していく方法が挙げられる。側道から飛び出してくる車がいるかもしれないから減速しよう、ここは横断歩道がないけど、渡る歩行者が多いから、歩行者が立っていたら減速しよう、と予測していく。第二に、身近に起きたケースを知り、自分の場合に当てはめて考える方法である。できれば聞きたくないものだが、どこどこで誰かが追突されたらしい、小学生が飛び出してきたらしい、といった情報を元に、自分だったらどうできたか、と考えていく。楽しくはないが、実際に起きている事故なので、それを元にシミュレーションすることで、より起こりうる状況をシミュレーションできることになる。

 この2点目が、大学から交通事故に関する注意喚起メールを送ることの意味ではないだろうか。「君たち学生の間で〜〜〜という事故があったよ。気をつけてね」といった趣旨の内容を周知することで、学生たちに自身の運転を見直してもらい、大学構内・近辺の事故の元となる危険運転を減らしていくことが目的だと思う。そう考えると、上記の注意喚起メールは「注意喚起」の役割を果たしていないように感じる。

 おそらく、私が知らない大学・当事者側などの事情は沢山あると思う。しかし、それにしても、もう少し具体的に書ける内容がなかったのだろうかと感じてしまう。メールに書かれている「常日頃から交通ルール等を遵守し、命を大切にすること」は、多少の危険運転をする学生らを含めて誰しもが知っていることである。今更、交通事故に関する注意喚起メールで触れられ、「心掛けてください」と言われたたところで、気を引き締めるきっかけにはならない。私たちは、具体的な場所や状況を具体的に知らされることで、他人事ではなく、身近で自分の身にも起こりうる事として捉えることができる。このことを、このメールを作成した or 作成指示をした方々に知ってほしい。

肩こりがきつい歳になった

 両腕をピンと頭上に伸ばし、後ろに向けてゆっくりと降ろす。すると、左の肩甲骨のあたりから、ボゴッボゴボゴッと強烈な音が響く。その音を聞いた人は、ほとんど同じことを言う。

「大丈夫ですか?」

 私が聞きたい。私の肩は大丈夫なのか。

 音の原因は、ズバリ、「肩こり」である。首から肩、肩から肩甲骨の下にかけて柔軟性の欠片もない鉄板が広がっている。痛みと苦しみを引き起こす鉄板である。その鉄板を変形させて、苦しみを少しでも緩和させるため、ここ最近はしょっちゅう腕や肩を回し、ボゴボゴッという音で近くの人を驚かせている。

 しかし、いつまでも周りの人を驚かせ続けるわけにもいかないし、私自身もこの鉄板を担いでずっと生活するのは嫌だし、どうにかこの肩こりを改善したい。そこで、まずは肩こりについて知ろうと思った。早速、定義を調べてみると、簡潔な答えが見つかった。

「肩こりの明確な定義はない (森本 2010)」

 そうなのか。

 森本 (2010)の総説によれば、肩こりは病名ではなく、症状名であり、本人が後頭部から首、肩、背中にかけての筋肉の緊張を中心とする不快感、違和感、鈍痛などを感じる症状を「肩こり」と呼ぶ。肩こりは、その原因により、本態性、症候性、心因性の3つに分類できる。1つめの本態性肩こりは、姿勢の悪さや運動不足、寒さなどが原因として挙げられている。2つめの症候性肩こりは、関節や筋肉の機能障害により、物理的に動かしにくくなったり、血行不順が引き起こされたりすることで、生じるものである。3つめの心因性肩こりは、うつ病パニック障害などで筋肉の緊張状態が続くことが原因と考えられている。

 さて、私の場合、幸いにして、四肢に異常はなく、能天気な性格であるから、症候性と心因性の肩こりとは考えにくい。そうすると、私の肩こりは本態性で、姿勢の悪さ、運動不足、寒さなどが原因と考えられる。私の生活リズム、今の季節を考慮すると、運動不足、寒さが原因とは考えにくい。つまりは、姿勢の悪さが一番の原因と考えられる。

 ここで、姿勢の悪さと言われて、思い当たる節はたくさんある。例えば、私の身体は、両肩の高さや両足の筋肉のつき方が左右で異なる。これを今までは、人間誰だって左右の使い方の癖が1つ2つあるのだから自然なこと、と気にしないでいたが、これは姿勢が悪い証拠とも言える。さらに、もっと直接的な証拠としては、整骨・整体院の方々に、通院するたび必ずと言っていいほど、骨盤と背骨が歪んでいますよ、と言われてきた経験がある。

どうやら私の肩こりは、姿勢の悪さによるところが大きい。肩こりを改善するため、当面の私の目標は、姿勢改善となりそうだ。

 

 森本昌宏. (2010). < 総説> 肩こりの臨床--適切な診断と治療のために. 近畿大学医学雑誌, 35(3-4), 151-156.