月にも浪にも放れない

植物を観察している大学院生のフリースペース

ニッキー・ヘイデンを喪ったと聞いて

 1週間ほど離島に滞在し、ネットが全く使えない環境にあった。離島から大陸に戻り、緊急のメールを返信後、MOTOGPSBKの様子を検索し、そこで初めてニッキー・ヘイデンが数日前に亡くなっていたことを知った。

 私がバイクレース界に興味を持ったのは数年前のことで、それほど長くニッキー・ヘイデンのことを見てきたわけではない。しかし、私は彼に対して、MOTOGP選手の中でも特別な思い入れがあった。なぜなら、彼は私の元バイト先であるダイネーゼのイメージキャラクターで、新作が発表される度にそれらを着た彼の姿が写った写真を見ていたためである。2年前にMOTOGPをもてぎで観戦したときには、彼の走りも見ていた。パドックでは姿を見ることができずに残念な思いをしたことを覚えている。そんな彼が亡くなってしまったというのは、さらに数日前の事故があったことも知り得なかった身としては、あまりに唐突で衝撃的である。

  人がいつか死ぬということは重々承知している。それでも、突然いなくなってしまうことは悲しく、涙が止まらない。かつて、加藤大治郎マルコ・シモンチェリが亡くなったとき、私はバイクレース界のことなどほとんど知らなかったが、今なら当時ファンだった人らの悲しみを理解できる。今はただ彼が35年の生涯に悔いがなかったこと、彼のご冥福、ご遺族が気を落とされ過ぎないことをお祈りするばかりである。